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野に咲く花のようにささやかな幸せを求めて…。デザインというものが、どのような分野で役立っているかと 申しますと、人工衛星・宇宙船・飛行機・船・自動車・自転車・ 乳母車から始まって、街の建築物や橋・店舗デザインやディス プレイ、服飾関係は着る物からアクセサリーに至るまで、また マスコミュニケーションの分野では、ポスター・新聞・雑誌・ テレビなど、視覚による情報の伝達に、また料理、美容に至る まで生活全般にわたって幅広く活躍しています。 デザインをするということは、ものを考え、計画するということです。どうすれば快適に生きていくことができるだろうか、という ことを常に問題として取り上げ、そしてそれを改善し、処理解決していくことがデザイナーの役目であり、皆さんにもぜひ考えていただきたいテーマなのです。最近ではテクニックの問題や、経済的問題にばかり焦点があてられて、デザインの本当の目的が忘れられてしまっています。 人間が生きていくうえで直面するさまざまな問題、衣・食・住だけでなく心理的な影響や環境づくりに至るまで、 深く幅広い思考がなければなりません。あの街中に灰色にのさばっている歩道橋一つ見ても、何という人間無視かと腹立たしくなるで しょう。そこにはさまざまな悪条件が含まれているのを、お気づきのことでしょう。身体障害者の方や歩行困難な老人、乳母車を押すお母さんにとっては何の役にも立たないばかりか、不自由この上ないものです。そこなわれて街の美観、失われた並木道や散歩道など、どう考えてもそこには人間の愛情や美に対する感覚は感じられません。 「デザインを学ぶ」ということは現代の人間が忘れ去ってしまっているもの、あるいは忘れかけている真心と温かさを、もう一度じっくり考え直してみるまたとない機会です。よいデザインとは何か?いつもそれ を胸にとめながら学んでいかなければなりません。 色々なことがわかり始めてくると、今まで考えてもみなかった不安が重くのしかかってくる時もあるでしょう。そのような時は、ただひたすら創造することに自分を燃焼させ、過去に執着を持たず、まっしぐらに進んでいくことが大切です。 作品に対する評価は、自分がするのではなく世間がするものですから、ともすればそこに矛盾や無理が生じることもあるでしょう。 正当に評価されないという悩みや苦しみも出てきます。けれどもそういう悩みや苦しみよりもっと恐ろしいことは、世間の軽はずみな評価や流行によって生じる、意味のない忙しさや無駄です。ただ「忙しすぎる」ということによって、心の豊かさや 愛情や夢が失われ、人と人、自分自身との戦いが生じて、ひょっとしたら大切なヒューマニティーが枯れ果ててしまうのではな いか?という不安に襲われます。 私は人間一人一人の生き方、すなわち生活こそ芸術そのもの であると思います。さまざまな人間がさまざまな興味ある生き方をする。「十人十色」とか「事実は小説よりも奇なり」とか申しますが、それこそ最も創造的なことではありませんか。どんな生き方をするかということこそ、この世に生を受けた人間に課せられた「価値ある課題」であると思います。 しかしいったいどうすれば「価値ある生活」をすることができるのでしょう。それは「自分自身をよく知る」ということから始まります。自分はどういう方向で生きれば良いのか、 どういう生き方が最も自分にふさわしいのかを知ることです。 世の中の不平不満の大半はすべて、自分とは何か?自分はどの程度の人間なのか?という評価や判断ができていないのが原因です。自分にふさわしくない、あまりに過大な夢を持ちすぎ て絶望と劣等感にさいなまれ、ノイローゼになるよりも、ささやかでもよいから、有名にならなくてもよいから、自分に合った好きな仕事を一生続けることができたら、どんなに幸せでしょう。ささやかな「小さいながらも楽しい我が家」に幸せを見つけることもいいでしょう。夫や子供があなたを頼りにし、あなたの笑顔や真心のこもったお料理に、やすらぎを見いだしてくれる……。これだけでも立派に創造的な生活をしているといえます。お金をたくさん持つことだけが成功者であるという考えや、手段を選ばず何がなんでも有名になりたい、というような風潮には反対です。 むしろ野にひっそりと咲くすみれの花が、旅人の心をなごませるような、そんな生き方こそ私の理想とする生き方なのです。人生は旅ともいえましょう。一億人の人の中から、何のめぐりあわせかこのメッセージを読んでくださるあなたは、 旅で知り合った道連れかもしれません。そして本当に良いもの、 美しいものを素直にほめ、それを楽しみ、卑しいものや醜いも のを見わける判断力を備えた見識を持つこと、これこそ本当の 教養ある人といえるでしょう。 私たちは、「他人の幸せを願うならば、まず自分が幸せになら なければならない。」と考えています。人をうらやむことのない ゆとりを身につけると共に、他人の幸せなくして自分の幸せは ないのだということも、わかっていただきたいと思います。人を生かすことは、また自分を生かすことにつながります。 私たちの学校ではその「ゆとりづくり」をします。ゆとりはすなわち生活力であり、特殊技術を伴った創作活動です。充実した人生を過ごすために必要な創造力・自主性・根気・忍耐力・ 礼儀・そして果てしなく広がる夢を作ります。当校はいかなる教育機関をも参考にしていませんので、皆さんにとっても大変フレッシュな学校であると思います。一般にいう学校のイメージとは全く違い、独特のムードにあふれ、むしろアトリエと いった方がピッタリです。もし私たちの学校へあなたがやって 来たとしたら、もう別世界なのです。世俗の不必要なアカは、 きれいさっぱり洗い流すことができます。そしてあなたの新しい一歩を、ふみ出すことができるのです。 | |