変身


カフカ 山下肇 訳 (岩波文庫)

まじめな若いセールスマンが或る朝目をさますと自分が一匹の虫けらに変わっているのを発見する。然しなお人間としての善意を持ち続けた彼は、数ヶ月を悩んだ挙句、家族からも見放されて孤独の厳しさの中で死んでゆく。これはカフカの独自な世界を典型的に表現する中篇として注目される作品である。


知られざる傑作


バルザック 水野 亮 訳 (岩波文庫)

芸術の使命は自然を模写することではなくこれを表現することにある」という信念をいだいて一つの作品に十年の精進をささげた老画家が、限りなき理想と限りある人間の力量との隔絶に絶望し、ついに心血を注いだ画布を焼きすてて自殺する経緯を描いた「知られざる傑作」をはじめ『人間喜劇』からえりすぐった6つの短篇を収める。


三銃士


デュマ 生島遼一 訳 (岩波文庫)

三銃士は世界中でもっとも人に愛された歴史小説である。全編にあふれる作者の生気、貴族的な気品、無駄のない構図、そしてリシュリューの策謀。アンヌ王妃の恋等、史実をも巧みに織り込んでいるが、特にこの小説の魅力は、フランスの愛すべき郷土性格ガスコン魂に貫かれた若々しい男性的ロマンであることである。一八四四年


感情教育


フローベル 生島遼一 訳 (岩波文庫)

一九世紀も半ば、二月革命に沸く動乱のパリを舞台に多感な一青年の感情生活を描く。小説に描かれた最も美しい女性像の一人といわれるアルマー夫人への主人公の思慕を縦糸とし、官能的な恋、打算的な恋、様々な人間像と事件を簡潔な筆で絡ませてゆく。ここには、歴史の流れと或る人間の精神の流れが、見事に融合させられている。


トルストイの生涯


ロマン・ロラン 蛯原徳夫訳 (岩波文庫)

ロマン・ロランは、人生と芸術に悩む無名の一青年であった若き日の自分の手紙に返事を寄せて励ましてくれた老トルストイを終生、人生最大の師と仰ぎ、尊敬と愛情を抱き続けた。その恩にむくいるべく筆をとったのがこの伝記である。ここには超人的な偉人トルストイではなく、人間のうちでも最も人間的なトルストイが描かれている。ロマン・ロランのすべての伝記作品と同じく真実に生きるために戦わずにいられない戦い―なによりもまず人間性の弱さそのものを克服するための戦いへの激励と、この戦いに敗れた人々への深い慰めがここにみいだされる。一九一一年


芸術とはなにか


トルストイ 河野与一訳 (岩波文庫)

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」「復活」などの名作を次つぎに生み、またロシア民話の再生に努めたトルストイが、自己の体験を生かしながら書き綴った芸術論である。作者は、思いきって従来の芸術論に抗議している。旧来の伏字の個所を補い厳密な校正をへたソ連版「トルストイ全集」に基づいて訳出された。

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