ジュリアス・シーザー


シェイクスピア 中野好夫訳 (岩波文庫)

本書は、国士であるが人間性に乏しい学者肌のブルータスを中心に、現実的な策略家キャシアス、風雪に乗じたが、多くの人間的弱点をもつシーザー、 道徳的には乏しいが人間操縦には本質的な智を持つアントニー。この四人の交渉と葛藤を中心に人間の類型をえがき、人間のよさや、弱さ、みにくさを描出してあます所がない。


ディヴィッド・コパフィールド


ディケンズ 市川又彦訳 (岩波文庫)

世界文学の中でも、十指に屈せられるべき必読の書。主人公デ イヴィドが生まれた時にはもう父は死んでいた。母も再婚の後 まもなく死に、頼るものとしては忠実な乳母ペゴティひとり、 それから彼の生活の苦闘が始まる。困難にあっても、悲しみに あっても、彼は人間への信頼をけっして失わない。そして最後 の明るい結末。一八四三―四年作


月と六ペンス


モーム 阿部知二訳 (岩波文庫)

絵を描きたい一念でロンドンの幸福な家庭から突然姿を消した男,ついには文明社会から逃れて太陽と自然の島タヒチに身をひそめ,恐ろしい病魔におかされながらも会心の大作を描いて死んで行った男がこの作品の主人公である.フランスの画家ゴーギャンの生涯にヒントをえて創作したといわれ,モームの代表作である.一九一九年刊


ファウスト博士


トーマス・マン 関泰祐・関楠生 訳 (岩波文庫)

現代のファウストに擬せられる一天才作曲家の,芸術家としての悲劇的生涯に托して作者が追求するものは何なのか.芸術の不毛と孤立とを娼婦からの病毒感染による霊感という「悪魔との契約」によって乗りきろうとして破滅する主人公.ナチズムの毒に冒され破滅へむかってつき進むドイツ,重い時代の流れがたくみに描かれる.


青春彷徨


ヘルマン・ヘッセ (岩波文庫)

アルプスの山の子ペーターは,初恋や母の死,パリ滞在を通して次第に人間ぎらいになっていった.アッシジの人々の素朴なあたたかさに慰められていたがペーターは老父の病気の報を受け,父の代りに働こうと故郷へ帰ってゆく.ヘッセ(一八七七 ‐一九六二)の出世作.


デミアン


ヘルマン・ヘッセ 実吉捷郎 訳 (岩波文庫)

デミアンは,夢想的でありながら現実的な意志を持ち,輝く星のような霊気と生気を秘める謎めいた青年像である.「人間の使命はおのれにもどることだ」という命題を展開したこの小説は,第一次大戦直後の精神の危機を脱した作者が,世界と作者自身との転換期にうちたてたみごとな記念碑というべき名作.一九一九年


吉田松陰 異端のリーダー


津本 陽 (角川書店)

吉田松陰が松下村塾で指導した期間は二年にも満たないが、物置小屋を改造した八畳の間から、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋など、明治維新をになった若者たちが育った事情が読み取れる。なぜ松陰は短期間でこれほど多くの偉人を 生み出す事が出来たのかゼミ方式の実践的な教育スタイルと、己の生死すら度外視した驚異的な松陰の時代を把握する感覚を分析している。松陰の生涯を検証し、世に知られている人物像とは一線を画した独自の視点で描いている。

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