赤光


斉藤茂吉 (岩波文庫)

万葉の伝統と西欧近代の精神との本質的な融合によって、日本 の文学に真の近代をもたらした画期的な歌集である。「死にた まふ母」「おひろ」の溢るる叙情は永久に我々の心を揺り動か してやまない。本文庫本は斎藤茂吉(1882-1953)みずから定本 とした改選版に、発表当時異常の影響を文芸界に与えた初版本 (大正2年刊)を付載した。  解説=柴生田稔


銀の匙


中勘助 (岩波文庫)

作者は,小説家,詩人,随筆家として極めて独創的な歩みを続けてきた人.幼少年期の可憐な姿を子供だけが持ちうる新鮮で鋭い感覚をもって描いたこの作品は,かつて漱石が未曾有のものと激賞した.(解説=和辻哲郎)


菜根譚


今井宇三郎 (岩波書店)

「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる。中国明代の末期に儒・仏・道の三教を兼修した洪自誠が、自身の人生体験を基に、深くかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした。的確な読み下し、平易な訳文。更に多年研究の成果は注と解説にも充分に盛りこまれている。


閉じる幸せ


残間里江子 (岩波新書)

この先もつづく長い人生をより活きいきと生きるために、古い自分を捨てて新しい自分と出会うために、あまり参考になるとは思えない人にも作者の社交力とバイタリティー、実行力による新しい生き方の方法に勇気づけられる。変わりたい。でも変われない―。そんなとき必要なのは、「変わる」でなく「閉じる」である。人生は長きにわたる舞台。折々に幕の閉じどきがやってくる。


十六の話


司馬遼太郎 (中公文庫)

二十一世紀に生きる人びとへの思いをこめて伝える、「歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことども」。山片蟠桃や緒方洪庵の美しい生涯、井筒俊彦氏・開高健氏の思想と文学、「華厳をめぐる話」など十六の文集。新たに井筒俊彦氏との対談「二十世紀末の闇と光」を収録。


ロビンソン・クルーソー


デフォー 平井正穂訳 (岩波文庫)

有名な冒険物語であるが,波瀾に富んだ出来事の面白さに加えて,主人公の生き方に表われている当時のイギリス中流層の理想的な姿を読みとりたい.特に二十八年間の孤島の生活では,敬神の念と合理的行動を武器に,いかなる境遇も着々と自力で切り開いてゆく不屈の人間像が,周到に,かつ鮮やかに描き出されている.


高慢と偏見


オースティン 富田彬訳 (岩波文庫) 

ここにいう“高慢”とは男性が女性に対する優越感であり“偏見”とは女性が男性に対する劣等感を意味する。 地主ベネット氏一家を中心とする恋のやりとりは明るいユーモアに満ち、心理描写にすぐれた作者の最大傑作であり、またイギリス文学の一典型である。 漱石が“則天去私”の例作としてあげたのも当然である。

前のページ  > 斉藤茂吉・中勘助・今井 宇三郎・イソップ・デフォー・オースティン > 次のページ